top of page

逆転カンサイFES spring charenge 
Kobe RAT 会場レポート

最初にステージに現れたのは、柚帆ズ。シンガーソングライターとして活動する柚帆のバンドバージョンだ。1曲目の「あめのあと」は、この季節にふさわしい、春っぽさを感じさせる爽やかな曲。少し鼻にかかる可愛い声で楽しそうに歌う彼女に、思わずこちらの顔も綻ぶ。「かっこいいトップバッターを飾れるように頑張ります!」とMCで高らかに宣言し、柚帆の弾き語りからしっとりと始まる2曲目の「シェルター」へ。悩み苦しみながらも頑張る人の背中を押すような歌詞と、少し震えた優しい歌声が心にじんわりと染み込んでくる。続いて可愛いキーボードの音が印象的な「白」を歌い上げ、すぐさま4曲目の「僕よ」へ。悲しみを感じさせるイントロから温かく包み込むサビのメロディは、まさにさみしさに寄り添う音楽だ。最後は柚帆のソロと楽器隊のアンサンブルの抑揚が心地よい「くつずれ」。サポート陣が笑顔で見つめ合う中で、堂々と”かっこいい”トップバッターを務め上げた。

アートボード 1_3x.png

​夜の果てに。

”こんなクソみたいな夜の果てに、いつか、永遠の幸せが待っていますように。”大阪発ギターロックバンド「夜の果てに。」。Vo.Gt.えのもとあやかがソロ活動からバンド編成に転向し、2021年3月本格始動。今はもう側にいない好きな人が、いつかこの曲を聴いてくれることを願って歌う、アンハッピーな世界観が魅力。

続いては、夜の果てに。1曲目から激しくかき鳴らすギターと感情が前面に出た歌声で観客をぐっと引きつける「君がいない夜」。Vo.Gt.えのもとあやかの甘ったるくクセのある歌声と、ずしっとした重さを感じさせる楽器隊のサウンドとのギャップが異様にかっこいい。2曲目「前髪」は、ゆったりとしたギターの音色も可愛いが「このまま車に飛び込んでやろうか、なんてね」と、そこはかとなく狂気が漂う歌詞が印象的だ。「25分間、ひたすら恋のことを歌っていきます」と話す彼女のMCの通り、続く「夕暮れ」は、幸せだったころの君を思い出しては憂うような、Vo.Gt.えのもとあやかの泣きそうな歌声に胸がきゅっと締め付けられる。4曲目は「星になればいつまでも大好きなあなたを見守れるのかな」という願いを込めて書いた「夜の星になって」。ぐっと拳を握り、気持ちを振り絞るように歌い上げる。ラストの「終電」では、アップテンポな曲調に観客も手拍子で応える。”元カレを超えられない僕”の気持ちを代弁するかの如く叫ぶ彼女の歌声が心に刺さったまま、ギターを下ろして幕が降りた。

”生きている人に、生きてほしい。”繊細な爆音で独創的な世界を創り上げる、大阪オルタナティブ爆発スリーピースバンド「衝動革命」。Gt.Vo.戎雄大、Dr.さかげん、Ba.あんこの3人で2020年7月に結成、翌年3月に初ライブ出演。同月、1st Single「koyubi/yours Alright」を配信リリースし、精力的にライブ活動を行っている。今年2022年新曲リリース予定。

​衝動革命

3組目は衝動革命。繊細なシンバルとメロウなギターのインストで、静かに、しかし力強く彼らの世界へと引き込んだあと、1曲目の「らせん」が始まる。ボディブローを喰らうかのごとく重厚なギターとベース、激しいドラムの音に圧倒されるが、ウォー!と叫ぶGt.Vo.戎雄大の声や、サビのBa.あんことのコーラスからはどこか人間臭い優しさも感じられた。激しいけれど繊細な独特の空気を残したまま、乾いた音でリズムを刻むドラムの演出で2曲目の「Wake」に突入。今にも壊れてしまいそうな脆さを抱えたダークな曲調は、まるでレクイエムのよう。3ピースとは思えない音の厚みを身体で感じた。続く「雨」は、雑音のような仰々しいSEが流れる中、Ba.あんこのコーラスが始まることで、凛とした空気感と美しく壮大なサウンドに惹き込まれた。曲の終盤には、テンポアップした激しいプレイで観客を爆音の渦に飲み込んだ。ここでGt.Vo.戎のギターの弦が切れるというアクシデントが。借り物のギターをチューニングしながら奇妙なMCを展開し、4曲目「koyubi」へ。重く歪んだSEと赤い照明が照らす彼らの姿には神々しささえ感じられた。最後の力を振り絞るかのような爆音プレイを見せ、「生きてください」と一言残しステージを後にした。

​ヒトリゴト

”自分のために歌う唄が、いつか誰かのためになったら。”神戸発ギターロックバンド「ヒトリゴト」。同じ高校出身のGt.Vo りょーがとBa.大輝の2人で2017年に結成。誰かの背中を精一杯押すようなストレートな歌詞と王道のギターロックが魅力。2021年5月1stミニアルバム「火蓋を切る」、今年2022年3月NewSingle「友達の唄」をリリース。地元神戸を中心に活発なライブ活動を展開中。

4組目はヒトリゴト。1曲目「大丈夫」から始まったステージは、アップテンポでキャッチーな曲調と持ち前のストレートな歌詞で、光が差し込むような明るい雰囲気に染め上げられた。ノリやすい四つ打ちのリズムに自然と体が揺れ、「きっと大丈夫」と歌うGt.Vo.りょーがのハイトーンボイスも耳に心地いい。「ええ唄歌って帰ります!」と高らかに宣言したMCから、象徴的なギターフレーズで始まる「いつか」へ。「いつか見た夢の話をしよう」と真っ直ぐに歌うGt.Vo.りょーがの伸びやかな歌声が印象的だ。ステージ上を飛び跳ねるBa.大輝とのコーラスにも胸を打たれ、思わず拳を上げたくなった。3曲目は3月にリリースしたばかりの新曲「友達の唄」。どこか青春を思わせるメロディと勢いのある演奏で魅せてくれた。ここでGt.Vo.りょーがのギターに鮮血が。血まみれの指でギターを鳴らし、4曲目の「世界が」へ。高いファルセットと「誰より君が好き」という直球な歌詞が切なく心に響く。続くMCで「あなた達の居場所が僕たちになれたら。」と渾身の願いを放ち、ラストの「これからも」では、一つ一つ丁寧に言葉を紡ぐように歌い上げる。心に一輪の花が咲くような”ええ曲”達に感動を覚えるステージだった。

​ナンカノユメ

”90年代を現代に!”大阪発ポップロックバンド「ナンカノユメ」。2019年4月、Vo.Ba.841とGt.daishiを含む4ピースで結成。紆余曲折を経て2ピース+サポートBa.&Drを入れた現体制へ。2020年12月、SEKAI NO OWARI、ゆず、Official髭男dismなどを手がける音楽プロデューサー 保本真吾氏主宰のEnjoy Music!に参加し、今年2022年コンピアルバムをリリース予定。大阪城天ストリートなど関西を中心に精力的にライブ活動を行う。

赤と黒で統一した衣装を身にまとい現れたのは、神戸会場のトリを飾る「ナンカノユメ」。Vo.841がスッと手を上げ、伸びやかな歌声で1曲目の「通り未知」がスタート。明るくリズミカルな曲調に思わず体が揺れる。ステージを右へ左へ動きながら気持ちよさそうに歌うVo.841と、Gt.daishiの歌うようなギター、歌を引き立てるリズム隊のサウンドが心地よい。ステージの後ろに広い草原と青空が広がっているような錯覚を覚える一曲だ。2曲目「ハイウェイ」は、物静かで儚げなイントロから始まり、Vo.841の美しく切ない声に胸がきゅっと締め付けられる。続くMCで共演者への思いを綴った後、3曲目となる新曲「心海」へ。ふわふわと浮遊感のあるサウンドとVo.841の艷やかな歌声で、神秘的な世界へと導かれるかのようだ。4曲目の「マイホーム」は、離れて暮らす両親に向けた感謝の唄。「あなたの子でよかった」と思いを込めて歌う姿に自然と目頭が熱くなる。MCで今日のライブへの感謝を伝えた後、観客に手拍子を促し、最後の「ヒーローベルト」へ。軽やかに踊りながら歌う彼女を見守るかようなGt.daishiの温かいギターが耳に馴染む。心にポッと火が灯るような愛に満ちたステージは、観客の大きな拍手で幕を閉じた。

柚帆ズ

”さみしい夜にそっと寄り添える音楽を。”ひねくれポップバンド「柚帆ズ」。2021年、シンガーソングライター柚帆として活動開始。バンド好きが高じて、同年12月に初めてバンド編成でのライブを行う。同月、1st EP「ジェントル、ワールド」をリリース。2022年4月15日、Live&kitchen歌う魚にてソロ名義の自主企画を開催予定。

bottom of page